椅子1〜3
スキーの板を裏返して積雪に刺し、交差させたストックで支え、そこに身体をあずけ日光浴をしながら一服する。その時の板のりのクッションから発想したアイディアで細く桟状に切った板を交差させた椅子の座と背を考えた。その座と背を支えるフレームを一品生産でなければできないようにデザインした椅子1。椅子2と3は、いずれも部材は工業製品として作られるが、前者は組立までをプロの手で行い、後者は住まい手が自分で組み立てられるように製作し、セルフビルドで完成させた。それぞれ必然の機能である座るところの仕組みは同じだが、職人仕事の一品生産、椅子単体での工業製品、ノックダウン生産によるセルフビルドと、機能から離れたフレームの工夫で三態の形が現れた。
三浦清史
建築
建築家。1948年千葉県に生まれる。1972年早稲田大学理工学部建築学科卒業。大成プレハブ㈱を経て、現在こうだ建築設計事務所主宰。「伝統木構造の会」、「ヒアシンスハウスの会」、「サイタマ・ミューズ・フォーラム(SMF)」など、木造建築やアートの普及活動にも携わる。『日本建築辞彙(新訂)』(2011年 中央公論美術出版)編集委員。建築作品として、藤崎邸、狩野邸、玉井邸、小松邸などの住宅、内田祥哉との協働で大阪ガス実験集合住宅NEXT21─603住戸、顯本寺本堂、妙壽寺東祥苑、妙壽寺猿江別院 など。